生徒さんの作品「わたし・ぼくの枕草子」

「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、すこしあかりて、紫だちたる雲のほそくたなびきたる」。誰もが知っている清少納言の「枕草子」を鑑賞してから、自分だけの枕草子を書きました。

レッスンの冒頭では、清少納言がどんな工夫をして風景を描写したかを考えました。レッスン後半では、自分が好きな季節を選んで、「枕草子」のように表現しました。

生徒さんの作品を二つ紹介します。
※読みやすさの観点から、改行や読点などの調整を行っている場合があります。

① 3年生の生徒さんの作品

夏はホタル。田舎で夜に外へ出ると、たくさんのホタルが光って飛びかっている。ずっと見ていると、人がランタンを持って歩いているように見える。時間がたつとやがてホタルは高く飛んでいつしかいなくなり、外は明るくなる。飛び去っていく時のすがたがとてもきれいだ。

冬は雪。雪合戦をしてあそび、かまくらを作ってきゅうけいする。ぽつぽつとふっている雪が幻想的だ。

【コメント】夏と冬、どちらも風景が目に浮かび、その場にいるかのような感覚になります。ホタルがランタンのように飛びかう様子と、ホタルが飛び去り外が明るくなった様子を対比させているところが、とても魅力的な作品です。

② 3年生の生徒さんの作品

夏は旅行。ひこうきに乗っている時はとてもウキウキする。夏休みが長いから思いっきり旅行ができていいなあ。

秋はお月見。まん月をながめながら食べるおだんごは、いつもの倍おいしい。月からおひめさまが来たらもっとうれしい。

冬は雪。赤い手ぶくろが白くそまると冬だなあと感じる。朝おきてまどを開けてやねが白くなっていると、さっぱりしていて気もちがいい。

春は進級。学年が一つ上がると心がドクドクとする。次の一年は何がおこるのかなあと。四月八日。私は赤いランドセルをせおって、さっそうと歩く。

【コメント】それぞれの季節の楽しみが伝わります。「月からおひめさまが来たら」「(進級で)心がドクドクとする」など、今ならではの感覚を、素直に豊かに表現してくれました。

大人からすれば、新学期もお月見も、毎年やってくる当たり前の出来事ですが、子どもにとっては、人生で何度目かの新鮮な体験です。もしかすると、今年の雪合戦は、自らの言葉で表現できるようになって初めての雪合戦かもしれません。

言葉にして残しておくと、子ども時代だけの感覚を後から振り返ることができます。それは、写真では残せない思い出になります。